Report
活動報告

福島から、全国の農地整備に変革を。〜vol.1〜

更新日時:2026.09.21

「せっかく整備した田んぼがこんな虫食い状態だったら、効率的に耕せない。なんとかなりませんか。」

私の地元福島で聞いたこの悲痛な訴えから、農地整備のあり方が変わろうとしています。
農業に縁がない方にも、ぜひ読んでいただきたい話です。
形の悪い小さな田んぼの区画を整え、農道や用排水路を整備する「基盤整備(きばんせいび)」。
大型の農機やデジタル技術を使いやすくすることで農業の生産性を高めるこの事業を、国は力を入れて進めています。

しかし、今までは、基盤整備を実施するために、対象地区の農地の所有者全員から同意を得ることが求められてきました。

ここで大きな壁となるのが、「相続未登記農地(すでに亡くなった方が土地の所有者として登記されたままの農地)」。

このような農地は、世代を超えて何十人もの相続人(いまの共有者)が全国各地に散らばり、この全員から同意を得るのは困難を極めるため、最終的に対象地区から外す、という扱いが続いてきました。

しかしそうすると、地区内に未整備の農地が虫食い状に残り、整備後の田んぼの形が悪くなってしまいます(アルファベットが付いている白い部分が相続未登記土地)。
さらに、その農地が耕作放棄地だと(下記写真)、カメムシの発生源となり、周辺の農地にも被害が及びます。
これは福島に限った話ではなく、全国で起きている問題です。

一方で、遠くに住む相続人は、そもそも自分がその土地の相続人であることすら知らないなど、事実上、農地と縁が切れているケースがほとんどです。

その人たちの保護のために、地域で田んぼを意欲的に耕す人たちの利益が犠牲になる——地元の「三穂田土地改良区」で冒頭のような悲痛な声を聞いたとき、私のなかに「これはあるべき農業政策ではない」という強い思いが湧き上がってきました。

「相続人全員の同意がなくても、その土地を基盤整備の対象に入れられるようにするべきだ」。

そう考えた私は、その実現に向けて論点を整理するため、農林水産省の若手職員の皆さんと勉強会を立ち上げました。
月に1回のペースで集まり、弁護士としての経験も活かして法律の条文や裁判例を丁寧に読み込み、何度も真剣に議論。
さらに、思いを共有した職員の皆さんに三穂田まで視察に来てもらい、県・市・現場の皆さんとも膝を突き合わせて意見を交わしました。

4か月にわたる検討の末、これまで障害となっていたいくつもの論点について、それぞれ乗り越える方法があることが判明。相続人全員の同意がなくても、その土地を基盤整備の対象に入れられる道が開けつつあります。

そのうちの一つとして、整備後の最終段階で行う登記について、これまでの運用を180度変える通知が、8月21日に全国へ発出されました。私が立ち上げた勉強会の大きな成果です。

「日本の農地の力を最大限に引き出す農政にする」
「地域の方々がいつまでも農業を続けたくなる農地にする」

農水省、県、市、土地連といった関係者の皆さんとこの思いを共有しながら、残る論点も詰め切り、福島の地から、全国の農地整備のあり方を変えていきたいと思います。

この問題にさらにご関心がある方は、私がまとめた分析レポートをご覧ください。
詳しくはコチラより
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